2人に1人は高⚫︎⚫︎?!
はじめに
突然ですが、日本人の約4300万人が発症している病気、と聞くとインパクトがありますよね。成人では2人に1人にせまる勢いです。
さて、それはどんな病気でしょうか?
正解は、高血圧です。日本人は食塩摂取量が世界的にも多く、2016年の国民健康・栄養調査の結果では、国民1人1日当たりの食塩摂取量は平均9.9gとなっています。
普段の生活を思い返すと、ご飯のお供に漬物を食べたり、ついつい汁物を飲み干してしまったり、心当たりのある方も多いかと思います。
高血圧患者さんのうち、70%の方が管理不良で、なんと30%以上の方が自分が高血圧との自覚がないまま生活されているとの報告があります。
今回は私たちにとって身近な疾患、高血圧について解説します。
1.血圧とは?
そもそも血圧って何でしょう?
心臓から送り出された血液が血管(動脈)の壁を押す力を「血圧」と言い、通常は、mmHg(水銀柱の高さ)という単位を使います。
心臓はドクッドクッと拍動しているので、たとえば、110/70mmHgというと、ドクッと心臓から血液が押し出された瞬間の血圧が110mmHg(収縮期血圧=上の血圧)で、次のドクッの直前の血圧が70mmHg(拡張期血圧=下の血圧)という意味です。
血管はいわばホースのようなもので、流れる水(血液)の量が多かったりホース(血管)が狭かったりすると水圧が強くなるように、血圧も上がります。(心臓から出ていく血液の量(=心拍出量)や、血液の流れやすさ(=末梢血管抵抗)で血圧は変動します。)
普通、血圧は心臓・腎臓・神経系・ホルモンなどの機能によって一定の値を維持していますが、それらのバランスが崩れた時に血圧が変化します。
また、興奮・不安・恐怖などの精神状態や、運動、体重の変化、気温、食事などにも影響され、1日の間や季節ごとに変動があります。
「血圧が高い」と来院される方の中にはご自身の血圧が高いかもしれない、と心配されるあまりかえって血圧が高くなっている方もいます。
そういった方には最初から降圧薬(血圧を下げるお薬)を処方せず、まずは自宅での血圧を測ってきていただきつつ、お話を伺い、不安を取り除くような治療を優先することもあります。
2. 血圧計について
診療の場では、二の腕で測る、上腕式電子血圧計を主に使っています。
前腕式の血圧計は持ち運びしやすいのですが測る位置がずれやすく、誤差も大きいのでできれば上腕式のものが望ましいでしょう。
カフの位置は心臓の高さに来るように測定します。
測定を開始するとぎゅーっと腕が締めつけられますが、これは、収縮期血圧(=上の血圧)以上に腕を締めあげて、ゆっくり圧を弱めていくことで、収縮期血圧と拡張期血圧(=下の血圧)がどこかを探り当てているのです。
ちなみに以前は使用されていた水銀血圧計は2021年以降製造・輸出入が禁止されていますので、最近は目にする機会が減っています。
3. 血圧の評価
自宅での血圧測定の方法についてです。
1回の機会にできれば2回測定してその平均値をその時の血圧とします。
高血圧の診断や治療の効果は少なくとも5日間、朝と晩それぞれの血圧を測って判断します。
*環境
静かなところ、リラックスした状態で椅子に座って(出来れば足を組まず)1~2分ほど安静にした状態で測定します。
測定の間会話は控えましょう。測る前に喫煙や飲酒、カフェインの摂取は避けることが望ましいです。
*タイミング
できれば朝と夜の2回測定してください。
朝は起きて1時間以内で、トイレに行った後、かつ朝ごはんの前に測定してください。夜は寝る前に測定してください。
どちらも座って1~2分気持ちを落ち着かせてからが良いでしょう。
*高血圧の診断
朝もしくは夜の血圧の平均が115/75以下が正常血圧、135/85mmHg以上で高血圧と診断されます。
その間の値は正常高値血圧や高値血圧などと言います。(ややこしいですね・・)
ちなみに診察室での血圧は120/80mmHg以下が正常血圧、140/90mmHg以上で高血圧になります。
4. 「病院でだけ血圧が高いんです」という場合は?
これは「白衣高血圧」と言います。
この場合は急いで治療を開始したりはしませんが、しばらくすると病院外(自宅など)でも血圧が高くなることがあると言われていますので、自宅での血圧測定をお願いしています。
逆に、病院でだけ血圧が低い、仮面高血圧と言われるものもあります。この場合は通常の高血圧として治療介入を行います。
いかがでしたでしょうか?
日本人では50歳以上の男性、60歳以上の女性の50%は高血圧とも言われています。
なので、健康が気になる方はまずは時々自宅で血圧を測ってみることをオススメします。
高血圧になる原因や、行う検査などについてはまた次回以降でお話ししたいと思います。
それでは、また。