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湿布の使い分け

[2025.03.26]

前回は飲み薬の痛み止めについてお話しました。

 

「足を捻ったな」「今日は肩が痛いな」となった時によく使うもの、なんでしょう?

 

多くの方は「あれ、家に湿布あったかな・・」と湿布を探されるのではないでしょうか。

 

世の中にはいろいろな種類の湿布があります。

 

今回は湿布についてのあれこれをお話ししたいと思います。

 

肩こりの女性のイラスト

 

 

湿布とは

湿布とは、痛み止め成分や皮膚を冷やしたり温めたりする成分が塗られた布のことです。

 

痛みや腫れのあるところに貼って、成分を皮膚から吸収させることで炎症を落ち着かせたり痛みをとったりします。

 

 

第一世代と第二世代

実は湿布にも世代があるんです。

 

第一世代

第一世代湿布は、冷感や温感などの刺激で痛みを和らげるタイプです(冷感・温感刺激については湿布の種類のところで少し詳しく説明しています。)

 

痛み止めの成分は含まれていません。

 

いわゆる冷湿布、温湿布はこれにあたります。

 

商品名はMS冷湿布MS温湿布の二種類です。

 

第二世代

第二世代はNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)という痛み止め成分が含まれている湿布です。

 

NSAIDsとは前回の痛み止めの話にも出てきたロキソプロフェン(ロキソニン)やインドメタシンフェルビナクケトプロフェンなどのことです。

 

肌から薬の成分を直接吸収することで痛み止めの効果をもたらします。

 

診療所や病院では第二世代の湿布を出すことが多くなり、第一世代の湿布の出番は少なくなってきています。

 

少なくとも何か原因があって筋肉や関節を痛めてしまったばかりの場合は第二世代の湿布を使ってあげるのが理にかなっていると考えます。

 

ちなみに「冷やしたい」という場合は冷湿布を使うより、氷を入れた袋や、アイスノンで冷やす方が効果的です。

 

水枕のイラスト

 

急性期をすぎた後は、好みに合わせて第一世代の湿布を使ってもよいでしょう。

 

 

特徴と使い分け

ここからは湿布の素材や成分ごとの特徴や使い分けについてお話します。

 

湿布の素材では「テープ剤」と「パップ剤」があります。

 

湿布の成分では「冷感タイプ」と「温感タイプ」があります。

 

それぞれの特徴をご説明します。

 

湿布の素材

テープ剤

水分が含まれていない、薄くて軽い布地の湿布です。

 

テープ剤」「パップ剤」の違い〜いまさら聞けない「薬」のキホン | 薬剤師コラム | m3.com

 

伸びやすく、粘着性も強いため剥がれにくく、肘や膝、肩など動きの多い部位に適しています。

 

湿布特有の匂いも少ないものが多いです。

 

剥がしにくいので剥がすときに痛かったりかぶれやすかったりします。

 

例)セルタッチテープ、フェルビナクテープ、ロキソニンテープ、モーラステープ、ロコアテープ、ジクアステープなど

 

パップ剤

水分が多く含まれている、白くて厚い布地の湿布です。

 

湿布のイラスト

 

粘着性はそこまで強くないため剥がれやすいですが、その分かぶれにくいです。

 

第一世代の湿布はいずれもパップ剤です。

 

例)アドフィードパップ、セルタッチパップ、ロキソニンパップ、モーラスパップ、MS温湿布、MS冷湿布など

 

湿布の成分

冷感タイプ

メントールなどが配合されている湿布です。

 

そのためヒンヤリした感じ(=冷感刺激)がします。

 

メントール自体に実際の皮膚温を下げる効果はありません。

 

温感タイプ

カプサイシン・トウガラシエキスなどが配合されている湿布です。

 

そのため、ポカポカする感じ(=温感刺激)がします。

 

温湿布のイラスト

 

トウガラシエキスは染み込んだところの毛細血管を拡張することで温かい血液が多く流れるようになるため、貼ってしばらくした後より患部を温めてくれます。

 

トウガラシエキスによる皮膚のかぶれが起こりやすいことに注意が必要です。

 

どのタイプも薬の効きは大きく変わりません。

 

使う場所や皮膚のかぶれやすさ、冷やす・温めるどちらが心地良いか、使い心地などでどれか選ぶと良いでしょう。

 

 

貼り方と注意点

最後に湿布の貼り方の注意点です。

 

1.貼りすぎ注意

湿布は肌から薬を吸収させる薬です。

 

そのため、湿布を何枚も使うことで痛み止めの効果は上がっていくのですが、どの湿布も7枚程度使うと薬成分の濃度は飲みぐすりと同程度になり、それ以上効果が強まることはありません。

 

ロキソニンなどのNSAIDsと呼ばれる薬成分は、たくさん使うと胃潰瘍消化管出血を引き起こすことがあります。

 

胃潰瘍のイラスト

 

副作用を起こさないためにも湿布は指示された枚数、必要な箇所に使用するようにしましょう。

 

たくさん貼らないと痛みが取れない場合は、痛み止めの飲み薬を調整した方がいい場合もありますので、かかりつけ医に相談してください。

 

2.長時間の貼付

湿布には1日1回貼るタイプと1日2回貼るタイプがあります。

 

決まった時間以上貼りつづけても効果が増すわけではありません。

 

皮膚トラブルの元にもなるので、説明書をしっかり読んで、決められた時間で剥がすようにしましょう。

 

3.光線過敏症

湿布の種類によっては「光線過敏症」に気をつけましょう。

 

ケトプロフェンという成分が入っている湿布は、湿布を剥がした後も4週間程は貼った場所に日の光が当たるとかぶれてしまうことがあります。

 

こちらも、説明書をしっかり読みましょう。

 

 

 

いかがでしたでしょうか。

 

個人的には湿布に世代があるなんて知らなかったので、とても興味深いテーマでした。

 

最近は第二世代の湿布を改良したロコアテープや全身の痛みに効くジクトルテープなども発売されていますし、より良い薬を開発してくださる製薬会社の方々に感謝です。

 

当院では痛み、辛さをなるべく取り除き、穏やかに日々を過ごしていただけるよう、引き続き皆様をサポートさせていただきます。

 

安心しているお婆さんのイラスト

 

それでは、また。

 

 

 

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