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令和版「加齢に抗う」〜ロコモ・サルコペニア・フレイルを知ろう〜

[2025.04.19]

人は年をとります。

 

年をとるといろんな体の機能が弱ってきます。

 

年をとって弱くなることを表す3つの言葉があります。

 

題名にもある通り、

 

ロコモティブシンドローム(ロコモ)

サルコペニア

フレイル

 

という言葉です。

 

聞いたことはあるけど、どんな意味なんだろう?

 

とお思いの方も多いのではないでしょうか。

 

歳をとってもいつまでも元気でいるために、今のうちからできること、やらなければならないことがたくさんあります。

 

それを知る上で、これら3つの言葉を理解することが必要不可欠です。

 

わかりやすく、一つ一つ解説していきます。

 

■

 

 

用語の説明

ロコモは「運動器症候群」という意味です。

 

サルコペニアはSarcopeniaという英語で「筋肉減少症」という意味です。

 

フレイルはFrailtyという英語で「虚弱」という意味になります。

 

パッと読むと「どれも同じじゃない?」と思いませんか?

 

全体的に弱ってくることがフレイル、その中でも体を動かす力が弱ってくることがロコモティブシンドローム、さらにその中でも筋肉が弱ってくることがサルコペニア、といったように守備範囲がどんどん狭くなってくるイメージです。

 

 

それぞれについて順番に解説していきます。

 

 

ロコモとは

骨や筋肉、関節、脊椎といった運動器が弱ってくることです。

 

英語で移動することを表す「ロコモーション(locomotion)」、移動するための能力があることを表す「ロコモティブ(locomotive)」からつくった言葉で、移動するための能力が不足したり、衰えたりした状態を指します。

 

ロコモとはその略称です。

 

膝が痛い」「骨粗鬆症や骨折で思うように体が動かせない」「脊柱管狭窄症などで足が痺れる」などで活動が制限されて、だんだん思うように身体が動かなくなってきます。

 

関節痛の男性のイラスト

 

ロコモチェック

ロコモを診断する上で、7つチェック項目があります。

 

1つでも当てはまるとロコモの可能性があります。

 

  1.  片足立ちで靴下がはけない
  2.  家の中で躓いたり滑ったりする
  3.  階段をあがるのに、手すりが必要である
  4.  布団の上げ下ろしや、掃除機の使用が困難である
  5.  15分くらい続けて歩けない
  6.  2㎏(牛乳パック2本分)程度の買い物をして、持ち帰るのが困難である
  7.  横断歩道を青信号で渡り切れない

 

息切れして階段を登るお爺さんのイラスト

 

いかがでしょうか。

 

早い人では40歳から膝の痛みや腰痛からロコモになる方が出てきます。

 

また、女性や肥満の方はロコモになりやすいと言われています。

 

ロコモ予防はサルコペニアやフレイル予防と被るため後ほどご説明します。

 

 

サルコペニアとは

筋肉の量が減少し、筋肉が弱ることです。

 

弱った筋肉のキャラクター

 

加齢活動不足な生活習慣タンパク質不足の食生活が原因と考えられています。

 

サルコペニアになると、歩く・立ち上がるなどの日常生活の基本的な動作に影響が生じ、介護が必要になったり、転倒しやすくなったりします。

 

こちらも簡単なチェック方法があります。

 

指輪っかテスト

ふくらはぎの一番太い部分が、両手の親指と人差し指で作った輪よりも小さく隙間ができれば、サルコペニアである可能性が高いと考えられます。

 

 

ある研究では、隙間ができる方はそうでない方に比べ、サルコペニアの危険度が6.6多く、2年間で新たにサルコペニアを発症するリスクが3.4倍高くなると結果がでています。

 

サルコペニア予防のために

サルコペニア予防には、タンパク質を含んだ食事をしっかりとることに加え、「抗重力筋」と呼ばれる筋肉を強化することが重要になります。

 

たんぱく質のイラスト(栄養素)

 

抗重力筋とは、体を正しい姿勢に保つために必要な筋肉のことです。

 

体幹や脚の大きな筋肉が含まれます。

 

このような筋肉は加齢に伴い、弱りやすいです。

 

その筋肉の中でも大事な太ももやお尻の筋肉を鍛える運動を紹介します。

 

 

脚上げ運動

太ももの前面の筋肉を強化する方法です。

 

椅子に座った状態で片脚ずつゆっくりと持ち上げます。3秒かけて挙げ、3秒かけて降ろす、を片脚ずつ10回繰り返しましょう。

 

 

 

空気椅子運動

太もも前面とお尻の筋肉の両方を強化する方法です。

 

椅子から立ち上がろうとして、お尻が座面から浮いた位置で静止し、10秒間、できそうであれば少しずつ時間を延ばしていきましょう。これを3回繰り返します。

 

 

 

変な姿勢でトレーニングを行うと体を痛めることになります。

 

慣れていない人は一人でやるのではなく、正しく行えているか誰かに見てもらいながら行うようにしましょう。

 

慣れてきたら腹筋や背筋など、他の「抗重力筋」を鍛える運動も取り入れていきましょう。

 

 

フレイルとは

健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態だが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の向上が可能な状態のこと」です。

 

単に「体が弱って寝たきりになる」だけでない、色々な状態のことをまとめて「フレイル」と表します。

 

身体が弱ってくる(身体的フレイルと言います)だけでなく、心も弱ってくる(精神的フレイル)、口の中の衛生環境が保たれなくなる(オーラルフレイル)、閉じこもりになったり外に出なくなる(社会的フレイル)など、色々なフレイルがあります。

 

自分の殻に閉じこもる人のイラスト

 

フレイルチェック

日本では5つの評価項目があり、どれか1つでも当てはまるとフレイルの前段階(プレフレイル)、3つ以上当てはまるとフレイルと判断します。

 

一緒にやってみましょう。

 

  1.  体重減少:6ヶ月で2〜3kg以上の体重減少
  2.  筋力低下:握力が男性<26kg、女性<18kg
  3.  疲労感:ここ2週間、わけもなく疲れたような感じがある
  4.  歩行速度:通常の歩行速度<1.0m/秒
  5.  運動不足:軽い運動・体操、定期的な運動・スポーツをしていない

 

体重計に乗る人のイラスト(おじいさん・痩身)

 

補足:

「歩く速さなんてわからない!」とお思いではないですか?

 

実は信号機の歩行者用信号の青時間は、一般的に歩行速度を秒速1メートルとして道路を渡りきれるよう調整されています。

 

なので、信号が赤になるまでに渡りきれないという場合は歩く速さが1m/秒以下になってきている、と考えてください。

 

 

いかがでしょうか。

 

3つ当てはまったからといってフレイルだ!と悲しむ必要はありません。

 

フレイルはいわば要介護状態の一歩手前の状態です。

 

でも「早く気がついて対策すれば健康な状態に戻るかもしれない」可能性があるのです。

 

 

フレイルから脱却するために

フレイル予防のために適切な介入・支援として、3つの柱があります。

 

 栄養

たんぱく質をとり、バランスよく食事をし、水分も十分に摂取するようにしましょう。

 

食事をしているお婆さんのイラスト

 

1日に必要なタンパク質の量は 体重×1.0〜1.2g と言われています。  

 

また、食事がしっかり食べられるように口腔内の健康を保つことも重要です。

 

 

 身体活動

歩いたり、筋トレをしたりするなどの運動を行いましょう。

 

先ほどのサルコペニア予防のための運動なども効果的です。

 

今よりも毎日10分多く動いてみることを意識してみましょう。

 

ウォーキングをするおばあさんのイラスト

 

 

 社会参加

就労や余暇活動、ボランティアなどに取り組むなど、社会とのつながりを持つように心がけましょう。

 

そんなに大層なものでなくとも大丈夫です。

 

自身の趣味でのつながりや友人と会うなどもいいでしょう。

 

談笑するお婆さん達のイラスト

 

「一日中誰とも喋っていないな」という状態は心が弱る原因となります。  

 

これら3つは三位一体で、どれか一つでも崩れてしまうとドミノ倒しのようにフレイルが進むことにつながります。

 

ドミノ倒しのイラスト

 

日々の生活の中でこの3つの柱を意識して実践し、継続していくことが大切です。

 

 

 

いかがでしたでしょうか。

 

人は誰しもいつかは老いますが、「健康寿命を長くしたい」は国民全員の思うところと思います。

 

なるべくロコモ・サルコペニア・フレイルにならないように、なったとしてもこれ以上進むことのないように、今一度自分の生活を見つめ直してみるのはどうでしょうか。

 

私はタンパク質少なめの食生活を変えるよう、昼食をしっかりとるように心がけたいと思います。

プロテインバーのイラスト

 

それでは、また。

 

 

 

 

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