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高齢者の腰椎圧迫骨折〜治すことより大切なこと〜

[2026.02.28]

今回は、高齢者の腰痛症と腰椎圧迫骨折についてです。

 

訪問診療を受ける高齢者になると、腰痛がある人は実に多いです。

 

最近痛みが強いなとか、急に腰痛が悪くなってきたなという場合、腰椎圧迫骨折が隠れていることがあります。

 

 

腰椎とは、背骨の腰の部分のことをいいます。

 

「圧迫骨折とは何か」をはじめとして、その診断や治療について解説します。

 

腰椎圧迫骨折は一般的に手術を要するものではなく、痛みのコントロールと安静がメインの治療になりますが、特に高齢者おいては、安静にしているとあっという間に筋力が落ち、たちまち歩けなくなってしまうリスクもあります。

 

 

整形外科に行って検査を受け診断してもらう必要があるのか、どこまで安静にする必要があるのか、入院すべきかどうかなど、実際の在宅医療に即して考えていきたいと思います。

 

 

腰椎圧迫骨折とは

言葉の通り、腰椎=背骨が潰れて起こる骨折のことをいいます。

 

加齢によって骨粗鬆症が進み、つまり骨が脆くなることで生じます。

 

転んで尻餅をついたことで発症することもあれば、些細な動作(くしゃみや中腰など)で生じることもあります。

 

和式便器で腰を痛めたお爺さんのイラスト

 

思い当たるきっかけがないこともあるでしょう。

 

・寝返りや起き上がりで特に強く痛む

・横になると楽で、立つと痛い

・背中が丸くなって身長が縮むこともある

・複数回、別の椎体においても繰り返すことがある

時間とともに痛みは軽減するが、数週間〜数ヶ月単位

 

ほかにも、こういった特徴があります。

 

 

圧迫骨折の診断と治療

一般的な話をします。

 

整形外科でレントゲンやCT、MRIを撮ってもらい、確定診断に至ります。

 

初期にはレントゲンでは分からないことがあり、MRIで新しい骨折かどうかが分かります。

 

MRI・CTスキャンのイラスト(女性)

 

つまり、家にいながら訪問診療で確定診断とするのは困難です。

 

治療としては、冒頭でも述べましたが、基本は保存的治療(安静・コルセット・痛み止め)です。

 

医療用コルセットのイラスト

 

コルセットを巻いて、痛みに応じて痛み止めの調整をしつつ、2〜4週間ほど安静にしていると、骨が形成されて治癒に向かいます。

 

痛み止めとしては、アセトアミノフェンNSAIDs(ロキソニンなど)、状況によりオピオイド(トラマール)などを使います。

 

強い痛みが長引く場合には、椎体形成術など手術が検討されることもありますが、高齢者には適応とならないことも多いです。

 

 

高齢者の圧迫骨折予防

圧迫骨折を発症すると、痛みで生活の質が下がったり、歩くのも大変になり、ADLを落としてしまうことにも繋がります。

 

おなじみですが、いかにして発症を防ぐか、予防が大切になってきます。

 

・骨粗しょう症の検査と治療

・カルシウムやビタミンDの補給

・転倒予防

・適度な運動(背筋を保つ)

 

 

普段からできること、やるべきこととしてはこんなところでしょうか。

 

加齢に伴ってどうしても骨粗鬆症は進んでしまいます。

 

通院できる人でなければ、定期的に骨密度検査を受けるのも難しいとは思います。

 

骨粗鬆症の治療薬を内服しつつ、カルシウムやビタミンDが不足しないよう、食事に気を遣うことが大切です。

 

普段から身体を動かし、体力・筋力を保つことも予防に繋がります。

 

車椅子に乗って運動する人のイラスト(おじいさん)

 

 

高齢者の場合の治療の考え方

安静

一般的には、発症から2〜4週間ほどの安静が必要といわれていますが、訪問診療を受ける高齢者の場合、基本的にはそうするわけにはいきません。

 

具合の悪い入院中のお爺さんのイラスト

 

風邪で数日寝込んでいただけでも筋力が落ち、歩けなくなってしまうこともあるぐらいです。

 

寝たきりになってしまうと、介護負担も一段と増え、肺炎にもなりやすくなり、食欲も落ち、人生のカウントダウンまっしぐらです。

 

高齢者になると、骨折の治癒も遅くなりますので、治癒するまで安静にしているのは現実的ではありません。

 

コルセットを巻いて痛み止めの調整を行い、「無理のない範囲で」リハビリも続けるというのが、妥当な治療方針になります。

 

骨折という病気や痛みを「治す」ことを目標にするのではなく、うまく付き合っていく方法を考えなければなりません。

 

リハビリをしている老人のイラスト

 

 

入院

自宅で生活していて、圧迫骨折によって歩けなくなってしまった場合、自宅に居続けるのは、介護面で難しいかもしれません。

 

自宅や介護施設にいる場合と比べ、入院となると、基本的には安静が勧められます。

 

病院とは「病気を治す」ところですから、当然といえば当然です。

 

疼痛管理に優れており、病気した部分が「治る」「良くなる」可能性は高くなるかもしれませんが、歩けなくなって寝たきりになったり、せん妄や、食欲が落ちてしまうなどのリスクも同じように高くなります。

 

医療に特化した「病院」という施設に入院することは、高齢者にとっては良い面ばかりではないのです。

 

 

 

確定診断・検査

極論かもしれませんが、診断を確定してもしなくても、治療内容はあまり変わりません。

 

折れていても折れていなくても、やることは一緒、ということです。

 

どこまで何を求めるか、目指すかにもよりますが、そのため、整形外科受診は必須ではないと考えます。

 

よほど強い痛みであれば、単純な腰痛や圧迫骨折ではない可能性(例えば、癌の骨転移など)も考えて、検査をしてもいいかもしれません。

 

しかし、通院が困難な高齢者にとって、診断が確定しても、全身麻酔の手術を受けるわけでもありませんし、大きなメリットはないと思います。

 

診断が確定すれば納得感が得られやすいという点においては、事実かとは思います。

 

治療介入を変えるために検査を行う、というのが保険診療の考え方で、診断をつけることが目的になってはいけません。

 

 

 

最後に

高齢者における腰椎圧迫骨折について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

 

痛みやADL低下で家にいられなくなってきた場合、理想を言えば、コルセットや痛み止めの調整をしつつ、ショートステイ利用や介護施設に入る方向で調整するのがベストです。

 

 

高齢者であれば誰しもそうなる、つまり圧迫骨折をきたす可能性があります。

 

できる予防を行いつつ、いざというときに迅速に動けるように、そうなったときにはどうしたいかを普段から考えておくことが大切です。

 

 

それでは、また。

 

 

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