足白癬と爪白癬
今回は、「白癬」つまり水虫のお話をしようと思います。
訪問診療をしていると、お世辞にも、足の指の間や爪がきれいでない方を多くみます。
もちろん、汚れているという意味ではありません。
高齢者において、指と指の間が白くふやけていたり、皮がむけていたり、爪が白色〜黄色に変色したり、厚くもろく変形していたり、といった所見がある場合、白癬=水虫であることも少なくありません。
では、どういったものが水虫と診断されるのか?その治療や、そもそも治るの?放置するとどうなるの?といった疑問にお答えしていきます。

白癬とは?
まず白癬(はくせん)は、白癬菌というカビ(真菌)が皮膚や爪に感染する病気です。
一般的には水虫とも言われますが、足の皮膚にできるものを足白癬、爪に感染したものを爪白癬と呼びます。
かゆみが強いイメージがありますが、爪白癬はほとんど自覚症状がないことも多く、気づかれにくいのが特徴です。
また、白癬菌は一度感染しても免疫がつかないため、治っても再び感染することがあります。
「昔なったことがある」「毎年同じ時期にくり返す」という人が多いのも、この病気の特徴です。
白癬の診断
足白癬や爪白癬は、見た目だけで診断するのが難しい病気です。
湿疹、乾燥、加齢による爪の変化、外傷などと非常によく似た見た目になることがあります。
そのため医療機関では、皮膚や爪の一部を少し削って顕微鏡で白癬菌を確認する検査を行い、診断します。

「水虫っぽいから」と自己判断で市販薬を使い続けると、実は白癬ではなかったというケースもあります。
また、日本のガイドラインでも、顕微鏡でしっかり診断した上で治療に進みましょう、ということになっています。
盲目的な治療は禁物です。
白癬の治療
足白癬の多くは、抗真菌薬の外用(塗り薬)で治療します。
一方、爪白癬は爪が硬く、薬が浸透しにくいため、内服薬や専用の外用薬が必要になることがあります。
外用薬で治療する場合:
・足白癬(皮膚の水虫)のほとんど
・爪白癬でも「変色や肥厚が軽度」あるいは「1〜2本程度の爪に限られている」
・高齢で内服のリスクを避けたい場合

このようなケースでは、専用の爪白癬外用薬を用いて、進行を抑えることを目的に治療します。
ただし、完全にきれいに治る可能性は高くありません。
内服薬が必要になる場合:
以下のような場合には、抗真菌薬の内服薬(飲み薬)が選択肢になります。
・爪の変形・肥厚が強い
・複数の爪が侵されている
・外用治療を続けても改善が乏しい
・痛みや歩行障害など、日常生活への支障がある
・治しきりたいという強い希望
内服治療は、菌を体の内側から抑えるため、治癒率は外用より高いとされています。
一方で、飲み合わせや、肝障害などの副作用に注意が必要です。

どのような人がなりやすい?
足白癬や爪白癬は、一度かかったことがある人ほど再発しやすい病気です。
子どもの頃や若い頃に水虫になった経験がある場合、完全に治りきっていなかったり、足に白癬菌が残りやすいことがあります。
白癬菌に対する免疫がつくわけではないため、何度でもかかる可能性があります。
年齢とともに皮膚や爪の状態が変わり、再び症状が目立ってくることもあります。
また、次に当てはまる人も、白癬になりやすいと言われています。
・長時間、靴を履くことが多い
・足に汗をかきやすい
・高齢の方
・糖尿病や血流が悪い病気がある方
・家族に水虫の人がいる
特に爪白癬は、高齢になるほど増える傾向にあります。
「年のせい」「爪が厚くなっただけ」と思われがちですが、実は白癬菌が原因のこともあるため、気になる人はかかりつけ医に相談しましょう。
白癬の予防
これまで罹患したことがない人も、一度治った人も、また発症しないために、予防策をお伝えします。
特に、白癬になりやすい人はこれらに気をつけてみてください。
・足を毎日洗い、よく乾かす
・同じ靴を毎日履かない
・バスマットやスリッパを共用しない
白癬菌は、高温多湿な環境を好むため、こうした日常の工夫が、感染や再発の予防につながります。
治るのかどうか
足白癬は比較的治りやすい病気ですが、爪白癬は治療しても必ずしもきれいに治るとは限りません。
いずれも、半年以上の治療期間が必要になることがあります。
特に高齢になるほど、爪の伸びが遅く、治療期間が長くなるうえ、治癒率も高くありません。
爪白癬においては、外用薬だけでは治癒が難しいケースも多く、しっかり治すには内服治療が必要です。
7割程度のケースで菌を抑え込めるものの、見た目が改善・治癒するケースは全体の5割以下という報告もあります。
そのため、爪白癬は「完全に治す」よりも、困っている症状(厚く硬くなって爪が切れない、爪が食い込んで痛いなど)があるかどうかを基準に治療を考える病気とも言えます。
治療しないと困る?
爪白癬を治療しなくても、必ずしも重大な問題が起こるわけではありません。
痛みや歩行障害がなく、周囲への感染リスクも高くなければ、経過観察という選択肢もあります。
一方で、爪の肥厚や変形が進むと、靴に当たる痛みや爪切りの困難さが出てくることがあります。
また、足白癬を合併している場合は、再感染や家族への感染源になることもあります。
治療の必要性は、年齢、生活状況、症状の程度を踏まえて判断することが大切です。
つまり、すべての爪白癬を無理に治す必要はなく、困っていなければ“付き合う”という考え方もあることを覚えておいてください。
足白癬・爪白癬について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
高齢者に限ると白癬は、3〜5人に1人が罹患していると言われています。
命に関わる病気ではないため、完治の見込みや、白癬に伴う悪影響があるかどうかを踏まえて、治療を検討するといいと思います。
それでは、また。
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